2009 年 7 月 9 日

マイクロファイナンス・インターナショナルが国際送金サービスで米国連銀と提携

GBの支援先であるマイクロファイナンス・インターナショナル社(本社ワシントンDC・以下 MFIC)は米国連邦準備銀行(以下米国連銀)と提携し、このたび米国連銀が刷新する銀行向け国際ペイメントサービス「FedGlobal」の新機能導入にあたり、そのプロセスエージェントになることが決定した。

米国連銀は同サービスの競争力強化を狙って、今年秋に「Account to Receiver」(送金の現金支払い)サービスを開始する。これまでのサービスは口座間の送金に限られてきたが、今後はMFICのペイメントソリューション「ARIAS」を使って市場の大半を占める需要に対応し、同サービスの競争力を高める。

MFICは米国全土2万以上の金融機関から連銀のペイメントシステムを通して集められた送金資金を「ARIAS」独自のネットワークを通じて受取人に届ける。第一段階として最も需要の高いラテンアメリカ向けのサービスを開始、以後アジア他の地域へも展開を見込んでいる。

採用の背景には、「ARIAS」が同時多発テロ以降の厳しい反マネーロンダリング規制に対応したコンプライアンス機能を完備していること(取引受付時に全て自動チェック)、世界全地域を網羅する支払いネットワークを有すること、また現金支払い、口座振込み、カードや携帯電話などのデバイスを使った多様な支払い方法に対応できるため、世界の幅広いサービス需要に応えられることなどがある。

目的

今回の動きは、国際的な資金移動が激増する中で、銀行側が負担する送金コストの大幅な低減とシステムの操作性を向上させることで、この分野における米国連銀の取扱いシェアを増やし、当局による資金動向の管理体制とセキュリティを向上させる狙いがある。更に、これまで銀行が取り込めなかった顧客層へのサービス(Account-to-Receiver)の普及を促進することで、金融サービス基盤を強化する意味もある。米国連銀は国内電子決済サービス(FedACH)では総取引量の過半数を担うが、国際ペイメントサービスはこれまで対象がヨーロッパ5カ国とメキシコだけに限られ、スイフト(SWIFT、国際銀行間通信協会が提供する国際金融通信メッセージングサービス)の後塵を拝してきた。

背景

世界最大の移民人口を擁する米国では、個人の海外送金が年間1170億ドル(約11兆円)を超える。これは世界の移民送金総額の約3分の1に匹敵する。しかし、送金者の大半を占めるのは途上国出身の貧困層で、送り手も受け手も銀行口座を持たない場合が多い。その結果、巨額の移民送金は銀行システムから外れるため、金融機関は商機を逸するだけでなく、銀行サービスを利用できない人々は健全な経済活動に支障をきたし、社会全般の経済効率が著しく損なわれてきた。
更に、2001年同時多発テロ発生以来資金洗浄の取締り強化を進めてきた米政府にとっては、クロスボーダーの資金の流れを把握することが危急の課題であった。
こうした事態を鑑み、米国連銀は2005年に「Directo a Mexico」という商標でメキシコ向け国際ペイメントサービスの提供を開始し、銀行による送金サービス提供を促してきた。「Directo a Mexico」は、価格競争力はあるが銀行口座間の資金移動しか対応できないため、人口の70%が銀行口座を持たないメキシコでは市場ニーズに合わず、銀行の反応は鈍かった。今回ARIASを採用することにより、こうした問題を一気に克服し、取り扱いシェアの拡大を目指している。

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